誰もいない - 小野寺南写真展

Date:
2009-06-18
Category:
PHOTOGRAPH

以前ここにも書いた企画ギャラリー「明るい部屋」での展示を観に行く。今回も小野寺南さんの写真展で、前回の「いつもそこにあるもの」から1ヶ月余りというスパンの短さは珍しい。

展示はいずれも無人の自動車を正面から撮影した、大小無数のモノクロプリントから構成されている。自動車というプロダクトは社会的な意味を多く含んでいるため、この写真の解釈もその分拡がってしまう恐れがあるが、展示のタイトルがその拡散を収束させる役割を担っている。

自動車を正面から見据えたシーンとして僕らは何を連想するのか。僕はファミリーの風景を連想する。それが、今回の写真にはどこにも存在していない。そこにはファミリーの姿を連想した僕の憧憬と、それが既に消え去ってしまったという哀愁が存在している。これはそのまま、これら"誰もいない"自動車の写真が、僕の感情の在り方を映し出す「鏡」の役割を果たしているといえる。(写真の役割がかつて「鏡」と「窓」に分けられたことは、今更ここで言うまでもないだろう。)

何故「鏡」であると言い切れるのか。それは連想する風景が個々によって異なるからであるということに過ぎない。この写真からエロスを連想したと答える人もいた。その役割を果たすためのモチーフとして自動車を選んだのは的確と思える。2009年というこの時代において、これほど個人と社会の在り方を象徴するモチーフはない。

これらの写真に対峙し、それについて語り合えばいいのだと思う。それが僕らを取り囲む社会、世界の在り方を浮かび上がらせるきっかけになるだろうと思える。

企画ギャラリー 明るい部屋
http://akaruiheya.info/

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