夫婦善哉 - 織田作之助

Date:
2008-08-17
Category:
04_BOOK

先日このブログに書いた山川直人氏のマンガ「コーヒーもう一杯」の第三巻に、「一枝と作之助」という短編が掲載されている。この「作之助」というのが作家の「織田作之助」を指していることはマンガを読み進めれば自然とわかることなのだけど、その織田作之助が実在した人物だとは思いもよらなかった。

実際webで検索をかけるとすぐに見つかった。戦前から戦中にかけて活躍した作家で、結核によって34歳の手前で死去している。太宰治や坂口安吾の並ぶ無頼派の作家だそうだが、これまで作家名の作品もまったく知らなかったため、ためしに一冊読んでみることにした。それが表題の「夫婦善哉(新潮文庫)」だ。

実際の文庫は短編集で、タイトルはそのうちのひとつに過ぎなかった。労働力のないボンボンの男と芸伎が駆け落ちしてくっつくところから始まり、その男のあまりに酷い浪費癖と甲斐性のなさに女が振り回される様を始終描いている作品だった。描かれる男の放蕩ぶりはあんまりで、女房がいながら芸伎と駆け落ちするのは勿論だけれど、芸伎とくっついて女房に逃げられたり、親父に勘当されかけるとビビッて泣きついたり、一緒に暮らす芸伎の女が数年かかって貯めた金を一晩で浪費してしまったりと、お話でありながら呆れるくらいの描かれ方をされていた。太宰治の作日に出てくる駄目男と似ていると感じたが、60年前のボンボンはそんな奴らばっかりだったんだろうか、それとも今も変わらずそういう奴らの性質は残存しているんだろうか。だとしたら今の無職ニート連中はその精神に近いんだろう。

読んでいてまったく感情移入できなかったのだけど、それは大阪を舞台に描いた話であるからか、それとも登場する男女の生活感があまりに自分の性格とずれていて現実味がなかったせいなのか。織田作之助という作家が、こういう作品を自身の経験に基づいて描いたのか、それとも何かシニカルな意味合いがこめられていたのか、そのあたりにとても興味が沸いている。

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