トロイメライ - 島田虎之介
- Date:
- 2008-07-13
- Category:
- 04_BOOK
マンガを買う。表題がそれ。ヴァルファールトというピアノと、それに関連する複数の人間が織り成す物語。4つの時代と風景を行き来する構成は複雑ながら巧みに練られているように感じた。ただこれは手塚治虫文化賞、新生賞受賞の告知文章を事前に知っていたからこその感想であって、事前情報がなければ僕には難解すぎるほどの構成力だったように思う。
前述したとおり、時代と場所とが幾度も絡み合い、その遷移も流れるように進んでいくので、節目を理解するのにはマンガを2回以上通して読まなければならなかった。また多くの書評で見受けられるように、事実とも取れるような固有名詞がいくつも登場するので、どこまでがフィクションなのかを判断するのも危うい調子になっている。もしもこのマンガに登場する時代背景に詳しい人間がいれば、その人間にとってはそぐわないこの感想かもしれないが、事実をベースに堂々としたフィクションをかますこの性質は、ほかのマンガにはあまり見られないように思った。
ただ、あまりに進展するテンポがスムーズなのと、登場人物や時代背景が多すぎるために、それぞれのエピソードが細部まで描かれているかといったらそうは思えなかった。別段語るほどのエピソードはないのかもしれない。そうであれば、登場人物各々に感情移入するよりも、その交錯する物語自体に注目するのが、このマンガを閲覧するのに適した姿勢なのかもしれない。
- 青林工藝舎作家 島田虎之介
- http://www.seirinkogeisha.com/artist/smtr1.html
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