アップフィールドギャラリー企画展 - Invisible moments

Date:
2008-06-16
Category:
01_PHOTOGRAPH

写真の企画展に赴く。表題がそれ。坂本政十郎さん、福居伸宏さん、湊雅博さん、山方伸さん、計4名の写真家によるグループ展で、いずれも風景写真による作品だった。表題の「Invisible moments」とは何か。会場で配布されていたキャプションを参考にする。以下引用。

タイトルの意味は見えない時・瞬間、隠された契機・要素、という意味です。メディアからの映像情報や人々の視覚の欲望によって、我々の傍らに常に存在しているにもかかわらず、阻害、隠蔽された風景があります。見えない風景は、見ようとされない風景、記憶に残らない風景とも言えるかもしれません。

ここで定義されている風景と相反する対象のひとつとして観光地があげられるだろう。もともとはその行為自体が生業であった旅が消費される対象として扱われ方が変化していったのは、鉄道などの交通網と複製技術である写真の発展によるものだそうだ。それは1900年代前半の出来事だそうだけれど、それから現在まで100年弱、地上の景色はgoogle mapによって各家庭においてですらその全貌を眺められるまでに情報としてまとめられていった。しかしまだそのディティールまでは観察し尽くされてはいない。或いはそのことに気がつかず、世界のすべての風景は情報化されたのだと誤解されている節もあるかもしれない。この企画展が指摘するのは、未だ情報化されていない風景を辿るその道筋ではないかと考えた。

またそれとは少し違った作品の観点として、企画展の発起人である湊さんから直接話を伺うことができた。人間がリアルな風景を眺めるなかには、その風景に連結する別の風景が必然的に関連付けられている。写真は複製機器であるから、そこに写し取られた景色には、現実のその風景に関連付けられた要素がそのまま粘着してしまう。観光写真などはもっともわかりやすい例だろう。その目に見える風景に関連付けられた要素を作為的に、徹底的に排除していこうというのが今回の写真のコンセプトである。また写真の閲覧者が、意味を剥ぎ取られた写真と、あらかじめ個々人が持っていた景色に対しての認識とを重ね合わせて、どのようなオリジナルの風景をその写真の向こうに空想するのか、その広がりを確認したいという目的があった。そのようなお話だったと記憶している。

写真への信憑性は1950年代に報道写真によってピークを迎え、テレビの出現などによって力を急速に失っていったという。そのテレビもwebの出現で写真と同じ道を歩み始めている現代において、情報や映像についての疑心はより強くなってきているが、そういったなかで、映像を現実とは異質なものとして、その現実から剥離させることからはじめたこの企画展の試みは、それ自体が興味深い対象だったと思う。

展示は6月29日(日)までとのことです。

写真アート アップフィールドギャラリー
http://www.upfield-gallery.jp/index.html

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