HTML+CSSの標準レベルと対価について

Date:
2008-01-23
Category:
03_WEB

興味深いエントリがあったので、それについて個人的な見解を書き残しておくことにする。

HTML及びCSSは習得が難しい言語か!:::STOPN' LISTEN:::
http://kennsu.jp/2008/01/htmlcss.html

僕はweb制作会社でディレクタの肩書きを背負ってはいるが、html+cssをある程度いじれるので、人手不足の際はhtmlコーディングを担当することがある。htmlは元々趣味で行なっていて、2年前にweb業界に飛び込んでからは他所のサイトのソースコードを覗いたり、辞書を引いたりぐぐったりしながら、独学で勉強を続けていた。能力としては、このサイトが限界といったところ。

コーディングが本職ではないからつねづね思うことがあるのだけれど、どこまでのスキルがあれば「html+cssができるひと」にあたるのか、ということ。tableレイアウトだけ出来れば金になる仕事は、現状だって実際はいくらでも存在している。「CSSが出来ます!」と自負している人間もいて、そういう人に実際に制作してもらったhtmlを見てみると、空DIVがあったり、XHTML1.0 strictなのにtarget="_blank"を書いていたり。それを指摘すると「そんなんユーザーもクライアントも見ないわ」と言われてしまって。悲しくなってしまう話だけど、状況によっては彼の言うことも正しいんだろうと思う。

html+CSSだけずば抜けて出来る人がいたとして、別にflashだけ、またはグラフィックデザインだけがずば抜けて出来る人がまたいたとしたら、前者は後者よりも稼ぎは悪いだろう。個々人の話ではなく、全体で見た場合の話として。というのも、上記htmlはソースコードが崩れていてもデザイナがよこしてきたpsdの再現は出来るし、音声ブラウザや印刷時、モバイル閲覧までフレキシブルに対応しなければならない案件はそうでない案件よりもずっと数が少ない。技術的にも金銭的にも、flashやデザインが重きを置かれる広告系のweb制作界隈において、htmlの優先度が低いのは仕方がない。

できるかどうかの基準は、技術の優劣よりもむしろ仕事でどこまで必要とされているかどうかということで、それであればhtmlが出来るひとは数多いだろう。

上記エントリでは、最低限のレベルというのは、

大工なら、木材に釘が打てるようになったくらいのレベル。
寿司屋なら魚をさばけるようになったくらいのレベル。
ギタリストがコードを覚えたくらいのレベル。

という程度だと述べているが、これはtableレイアウトが出来ればよい程度、と僕は捉えた。エントリの著者の考えは、その文章内容からしてきっと異なるんだろうなぁ。

ただこれらの話は僕の会社とその周囲のものであって、仕事の内容が変われば需要も変わる。そうなると必要とされる技術レベルにも差が出るだろうから、マークアップエンジニアで食いたい人はそういう会社を探すしかないような気がする。こんな話は世にある労働全般に言えることだろうけれど、このジャンルはちょっとニッチな気がしている。「大学で4年間、大真面目に哲学を勉強して大学院にまで行ってしまい、就職にやたら不利だから大学に居残るしか生活する術がなくなってしまった」とか、そんな話と同じにおいがする。だから今マークアップエンジニアを生業にしていて、人間関係や労働条件に恵まれている人は、今のその環境を大事にしたほうがよいのではと思っている。僕はそういう人がいるとしたら羨ましくてしょうがない。

個人的には、印刷用CSSがきちんとあたっているページを見つけると、なんだか無性にうれしくなってしまう。たとえば今晩の献立をwebで検索していて、出てきたメニューを出力したら、ナビなどがすべて消えてレシピの文章だけが出力される。そういうページが標準的になったら、webは今よりもずっと便利になる。web制作でよく扱うレギュレーションだってそうだ。pdfで残すよりもhtmlで構築してひとつのwebサイトとして作成しておけば、検索はしやすいし、代理店に「早くレギュレーション手配して下さい!」なんていちいち言わなくても済む。企業のweb担当の人からしたって、更新も容易に済むはず。

けれどもそういう感覚を共有できるひとは僕の周りにはいない。htmlをドキュメントとして捉えている人は少ないんだろう。すごくもったいないと思う。

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