9th Spiral Independent Creators Festival その2 - 松永亨子【ブックアート】
- 投稿日 :
- 2008.5.03
- カテゴリ :
- 02_ART
ワコールアートセンター主催、スパイラル企画制作のアートイベント、SICF(Spiral Independent Creators Festival)のAグループの回を観覧に行く。そのなかで気になったものについて、ひとつずつ覚書を残しておくことにする。
写真を素材に利用したブックアート。制作者の自宅からこのイベントの開催場所である渋谷スパイラルまでの道のりを撮影し、実際の順序にならべて製本している。撮影する写真は、その道のりの間に方向を展開した際に一枚ずつ撮影されたとのこと。方向転換までに要した歩数も、そこにはテキストとして情報が与えられている。写真はその上からドローイングされていて、いずれも明度が高く、且つ輪郭がぼかしぎみに加工されている。なぜこのようなドローイングを施しているのか、それは作者自身の見る夢のようにイメージを再現しているとのこと。それはつまるところ、加工された写真が、個人の見る世界の認識・イメージを視覚的にあらわしているということになる。
元来メカニカルな媒体である写真は、それでも撮影者の意図がフィルタになって長い間個人の感情などといった情緒的なイメージをまとって作品に昇華させられていた。しかしけっきょくのところ写真には限界性があり、フレーミングされた景色の周囲に紐づいた環境を閲覧者に正しく連想させることはできないし、テキストによって映像の真実は容易に湾曲させられてしまう。写真はその最たる特徴であるフレーミングによって、現実の映像を写しているにも関わらず、現実とイメージの狭間に浮遊してしまっている。
僕も写真をやっているが、その限界性についてはもとより諦め、そのなかでどうにか作品を作ろうと模索を続けている。しかしこの作品は、写真のもつその限界性をさまざまな加工を施すことによって乗り越え、個人の持つ現実のイメージをもっともわかりやすいカタチで視覚的にあらわそうとしている。はなからフレーミングの限界のなかで遊んでいる僕とは、もとよりエネルギーの総量が違っている。この点、ひじょうに感心させられてしまった。
- This is a book.(制作者のブログ)
- http://locate.exblog.jp/
- Welcome to SICF Web|9th SICF トップページ(公式)
- http://www.spiral.co.jp/sicf/
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