英国美術の現在史:ターナー賞の歩み展
- 投稿日 :
- 2008.4.26
- カテゴリ :
- 01_PHOTOGRAPH
森美術館へ開催したばかりの企画展を観に行く。表題がそれ。ターナー賞とはイギリス在住で重要な活動をした現代美術作家に対して授与される賞だそうだ。近年は若手作家の登竜門的な扱いをされているらしい。先日新宿に個展を観に行ったティルマンスの写真も、彼が受賞者ということもあり展示されていたが、今回僕が目的にしていたのはダミアン・ハーストの作品だった。
もともと会社の同僚から、ダミアン・ハーストのMother and Child Dividedを教えられて興味を持ったのだ。この作品、牛の母子がホルマリン漬けにされているのだけど、母子ともに身体がふたつに分断され、それぞれが別のケースに入れられている。作品のキャプションには「生と死のあり様を視覚化」したとあった。
この類のアート作品は、動物愛護団体などから批判を浴びることが多いと思うが、90年代初頭から表立った活動をおこなっているハーストもむろんその例外ではないようだ。最近ではweb上でも話題になった「犬の餓死」が思い浮かぶ。この類の作品はもとよりインパクトのつよいものであるので、賛否問わずとも作品にたいして声を荒げれば注目の的となってしまうのは当然のこと。それが作家の狙いという邪推もできるし実際こうした活動家のなかには本当にそうした意図で創作をおこなっている人間もいるだろう。ハーストがそうであるということは誰にもわからないだろうから、この批判については個人的にはさしたる興味はない。
この作品に限らずハーストは、死をテーマにした作品を多く制作しているとのこと。ホルマリン漬けにされた牛は切断されているから、その内臓は隅までじっくりと眺めることができた。血の気の引いた内臓の断面図は、生も死も感じ取れない。いずれも生々しさを感じるキーワードだが、ホルマリン漬けの牛からはそれは感じ取れない。ケースのなかの牛の母子はたしかに死んでいるのだろうけれど、血の気のなさとその異形さから、かつてほんとうに生きていたのか懐疑的になる。生死にたいしての安直な先入観に疑問符を投じるのがメッセージか?その程度でも、考えが進むだけでも面白いと感じた。
休日は込み合う場所なので、平日に訪れることができてよかった。展示は7月まで続くとのこと。
- MORI ART MUSEUM [英国美術の現在史:ターナー賞の歩み展]
- http://www.mori.art.museum/contents/history/index.html
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英国美術の現在史:ターナー賞の歩み展
(表参道 high&low) : 2008年4月29日 08:11