福居伸宏展 - ジャクスタポジション 其の二

投稿日 :
2008.3.09
カテゴリ :
01_PHOTOGRAPH

前回からの続き。今回は福居さんのお話のなかで興味深かった内容のピックアップ。大きく分けると、以下2点が挙げられる。

個々のイメージによる作品のコンセプト想起には限界がある

写真は現実の描写をフレーミングして写し取る。写真を単純な記録媒体として扱う以外に、表現行為として扱う場合に、他のメディアのそれと同様にコンセプトを設ける必要があるのだけれども、それに際し写真一つで勝負するのには現在既に限界があるというお話を伺った。複数の写真を利用すれば、単独の写真では表しきれなかったテーマを扱えることになるのかもしれない?果たしてそれは時間か、空間の認識か、音か匂いか。

複数の写真で構成するとはいっても、ステッチングという手法ともまた異なる。所謂組写真というものにあたる考え方なのだろうが、これまで組写真として世に公開されてきた作品群よりももっと強く、写真と写真の繋がりをつけていく必要が、これからの写真の撮り手にはあるのかもしれない。この話については、近代美術館で観た榎倉康二氏の写真とそのコンセプトを連想した。

同様の写真でも、構成の仕方によって別の作品が仕上がる

作品を作るうえではコンセプトやテーマといった「柱」になるものが必要だということは、趣味人がお金を払って通う無認可の写真学校でも教えてくれる初歩的なことだ。それらがなければキャプションも書けないし作自身がプレゼンもできない。それらを決める方法に定型のものはないけれど、ひたすら数を撮って取捨選択したうで見出すといった方法はよく耳にする。またその逆、テーマを決めてそれに沿った撮影をピンポイントで行うといったものもあるようだ。

延々と同じモチーフを撮り続けるという行為は、先に挙げた手段からすると後者によっていると思うが、更にそこから異なった方法の選出の仕方を試みることで、別の作品を仕立て上げることが出来る。今日この展示を観、福居さんから直接話を伺ったなかでそのことを教わったように思う。要は、素材をそのままに再構築をかけるといったところだ。

個人的な話をすれば「stabilizer」は最初からコンセプトを決めて、そのためだけに写真を撮り続けている。そこから再構築をかけて別の作品を作れるかという考えは、まったく存在しなかった。これは新鮮で、これまで撮り溜めた、或いはこれから撮り溜めていくstabilizerの写真の群から抜粋すれば、更なるシリーズが生まれるかもしれないという可能性は、想像するだけで楽しい。最初から別のコンセプトを新たに考え出すというのも徒労なので、これが直近の僕の宿題になるかもしれない?

今回の収穫はこんなところか。展示は3月29日まで開催されるとのこと、ぜひオススメしたいイベントである。

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