福居伸宏展 - ジャクスタポジション 其の一
- 投稿日 :
- 2008.3.08
- カテゴリ :
- 01_PHOTOGRAPH
写真展を観に行く。清澄の、半蔵門線の駅から少し歩いたところにある「小山登美夫ギャラリー」へ。昨年4月に、アップフィールドギャラリーでグループ展をされていた福居伸宏さんの、今度は個展だ。グループ展の際にお話を伺う機会があり、自分の写真の目指す方向のかなり先をいくコンセプトに感銘を受けた。今回個展を開催されると聞いて是非とも行きたいと思っていたのだが、日曜日がギャラリー自体休館であるため、機会を逃すまいと開催初日である今日に時間を作って観に行くことにした。
展示作品は「Juxtaposition(並置)」と「Multiplies(増殖)」の2シリーズ。「Multiplies」はアップフィールドでのグループ展でも展示されていた作品だが、「Juxtaposition」は新作とのこと。両者とも都市の夜景を捉えた写真で構成されており、断ち落としされたプリント、左右の隙間の無い配置のされ方など共通点は多いが、大きな違いは「Juxtaposition」は写真全てが縦揃えされており、「Multiplies」はひとつとして縦位置が揃っていないという点。
モチーフが共通している写真が、縦揃えに整列されている場合とそうでない場合、そこから生まれる違いは何か。展示を観ていてまず僕はそれを見出そうとした。展示のレジュメには、「都市空間を様々なポジションから縦横無尽に捉えた夜の風景は、あたかも最初から1枚のパノラマ写真としてつながっているかのように展示されていきます。」とある。細かく見ると、それぞれの写真は奥行きも高さもバラバラのものが並べられており、写真と写真の間に隙間が存在しなくともその切れ目を認めることが出来るが、作品の一群をひとつ視界に入れてしまうとなかなかその差を意識するのは難しいかもしれない。だから解説では「パノラマ写真としてつながっている」という表現をしているのだろうが、その先入観を与える力は「Juxtaposition」のほうにより強く感じることが出来た。それは写真と写真の差が、縦揃えされている分だけ「Multiplies」よりも少ないためだと考えた。
そして、今回もまた展示者の福居さんに話を聞くことが出来た。作品2種のコンセプトについて、僕自身も「stabilizer」で試みている、写真のフレーミングなどによる限界性を利用して閲覧者の認識を操作することなのかと思っていたのだけれど 、あまりそういった意図はないようだった。福居さんは個々の写真は「断絶」している、という話をされていた。個々の写真は先にも書いたように、実際には決してそれぞれがシームレスになるようには仕立てられてはいないので、むしろ写真と写真の間にある「断絶」を意識させようとしているのかもしれない?「Juxtaposition」は縦揃えに並んでいる分パノラマに見えるがその実個々の奥行きなどが異なり、それが顕著に意識される。「Multiplies」は個々の写真の縦位置が異なるため「Juxtaposition」ほど個別の奥行きなどの比較が弱いかもしれないが、写真と写真位置の差が大きいことから、また違った入り口から「断絶」の意識が生まれるように感じた。同様のモチーフを捉えた写真で構築されたものでも、展示のされ方に差を出すことによって、そのテーマを見出すための思考の入り口が別々になり、出口は共通する、という結果が生まれているように感じた。これは新鮮。
やはり僕も写真を撮る身であるので、自身の作品を制作する際に参考にしたい点があったが、長くなるのでそれはまた次回に。
- Every Sunday Nobuhiro Fukui
- http://www.nobuhiro-fukui.com/
- Tomio Koyama Gallery
- http://www.tomiokoyamagallery.com/
COMMENT
TRACKBACK
URL : http://tplh.net/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/669