ふらふらふらり - 藤本和也

投稿日 :
2008.1.29
カテゴリ :
04_BOOK

吉祥寺バサラブックスで本を購入。餅屋ブックという個人出版レーベルから発刊されている漫画「ふらふらふらり」の1集と2集だ。幼児向け漫画とも思える柔和でイラストチックな画風だが、物語はモラトリアムから抜け出せない青年たちを中心に描いた倦怠感のただよう内容。このギャップがユニークだと感じる。

同じくアマチュア漫画家香山哲氏の作品「香山哲のファウスト」のなかでも、不器用に生きる青年の姿が描かれているが、それは青年の懊悩をストレートに表現していた。この「ふらふらふらり」では画風も手伝って、その懊悩をオブラートに包んだような控えめな表現として扱い、しかし確かにじわじわとその窮屈さを表に滲ませている。同じカテゴリにいながら対極の表現だなぁと感じる。前者は主人公の精神面を多く扱い、後者は登場人物同士のコミニケーションや生活の描写からなる外的な面を多く扱っているから、その違いからきているのかもしれない。

モラトリアムをあつかっているが、劇中のゆるやかな生活の流れに、たまにそれを忘れてしまう。しかしそのなかにまじって、SEXや労働についての描写が出てくるのを見ると、忘れていたこの漫画の一本とおったテーマのようなものをすぐに思い出させられる。

掲載されている作品の初出は96年、今回購入した本の第一刷は02年だそうだ。僕が小学校で鼻を垂らしながら台形の面積を求めていたころに、メジャーから離れたところでひっそりと創作活動をしている漫画家がいて、僕は今大人になってようやくその作品に出会い共感を覚えている。この時差が不思議。今はwebのインフラも整い、デザインフェスタなどの創作イベントも一般的になってきているので、ニッチな世界の情報は得やすくなっているから、活動をする側としても自由に動きやすくなってきているけれど、そうではない時代に、創作活動を行なっていた人のバイタリティみたいなものを垣間見た。惜しむらくは、このシリーズの第3集以降が制作されていないことだ。

餅屋ブック
http://www.mochiya.nu/mb/

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