サマーバケーションEP
- 投稿日 :
- 2008.1.16
- カテゴリ :
- 04_BOOK
小説の新刊を古本で購入。表題がそれ。最近小説は古い作品ばかり読んでいたので、現代の作家のものを読むのは久しぶりのこと。この本は先月末の文化系トークラジオLifeで紹介されていたのをきっかけに購入。著者、古川日出男の作品自体僕には初めてであって、作風やジャンルなどはまったく知らずに読み始めた。
他人の顔を区別することができないという二十歳の男性が、井の頭公園から神田川に沿って東京湾までの道のりを、途中に出会う様々な人たちと一緒に、ただ歩いていくというお話。この男性のほか登場人物は、脱サラした(と思われる)男性やリストカットの女性、イギリス人と日本人のカップル、子供、社長、中国人など安易な感じ且つバラエティに富んでいるが、彼らについて各々のバックグラウンドを深く掘り下げていくことはない。彼らは仲間に加わったり離別したりを繰り返すが、それでも物語の主流は海を目指して歩くのみである。
物語の途中で大きな事件は起こらない。物語の抑揚は至極おとなしいままで、そのまま終わる。ただの小旅行記のようにも思える。「サマーバケーション」とタイトルにつくように、夏休みのような物語の雰囲気を味わうための物語なのだろうか。そういう感覚は、読んでいて僕にも確かに起こった。労働と生活の日々からはかけ離れた緩やかな時間の流れと言おうか。僕個人としても学生の時分、夏休みを利用して、これといった意図なく茨城や甲府に自転車で旅行に出掛けたりしていたが、きっとこういう小旅行の経験は他の人間にもあって、そういった経験のひとつの例をテキストに起こしたのがこの本なのだろう。何も起こらないはずである。
雰囲気を楽しむ。意味を深く探ろうとしない。世の中にはこういう娯楽もあるのだと最近知ったが、この本もその分類に当たるのだろう。古川日出男の著書はいずれもこの本のような作風なのだろうか?少し興味が沸く。
- 古川日出男公式サイト
- http://www.shueisha.co.jp/furukawa/
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