さよなら妖精

投稿日 :
2007.11.25
カテゴリ :
04_BOOK

小説を読む。表題がそれ。

購入した動機については、以前ここにも書いたTBSラジオ文化系トークラジオLifeの書籍にて、番組のサブパーソナリティである仲俣暁生氏によって推薦されていたことに因る。購入した書店でのカテゴライズはミステリ小説だったが、Life本やwebの書評の多くでは青春小説と呼ばれている。僕個人としては、読んでいてライトノベルの様相に近いものを感じ、ミステリ要素も日常的なものであったため、後者の印象が強かった。

読みやすい内容だったので2日かけて一気に読みきってしまった。刊行は3年前、2004年のもののようだが、小説の舞台は91年~92年。旧ユーゴスラビアから来日した少女マーヤと偶然関わる少年たちの物語で、彼女の母国の当時の情勢を題材に、彼女がユーゴスラビアの連邦のいずれの国からやってきたのかを推理する、というもの。いたってシンプルであるが、読んでいて印象に残るのはその謎解きの部分ではなく、主人公の少年とマーヤとの絡みについて。ミステリ小説として成り立っているこの物語が、青春小説と趣を変えて捉えられる所以はここにあるのだろう。

マーヤという少女、スロベニア・クロアチア両共和国の独立紛争の直前に来日し、直後に帰国する。その情勢を知っている主人公は、マーヤと一緒にユーゴスラビアへ行こうとする。が、それを帰国しようとする当人に窘められる。その様相がおもしろい。以下引用。

「もりやさん。わたしは、ユーゴスラヴィヤの文化を造る政治家になるため、いろいろの国を見てまわりました。とても意味があったと思います。それでは、もりやさんはなにをするためにユーゴスラヴィヤへ行きますか」
「だから、なにかを」
眼を、眼の奥を覗き込まれる。
「なにか?」
「・・・・・・・・・」
醒めかけていた酔いが急に戻ったように、頬が熱くなった。
マーヤは、まるで子供をあやすような、諭すような、穏やかな顔つきだった。

同年代の少女に曖昧な決意を語ってこの窘められ方である。ひじょうに恥ずかしい。怠慢無知無学でありながら、それを信じようとしない様、この主人公のこの立ち振る舞いは確かに青春である。生活を為すには出来ることをしなきゃならないのに、やりたいことばかり追う様が青春である。これがライトノベルであったなら、きっと主人公はユーゴスラビアに行って"何か"を為すんだろうが・・・

個人的な話をすると、旧ユーゴスラビアについてこの本を読むまでまるで知識がなかった。恥ずかしい話だが、知識の補填として役立ったという点は大きいかもしれない。そういえば、こんなテレビ番組を思い出す。

この本を読んだ後だと、失笑しか出来ない。

COMMENT

RSSリーダで表題だけ読んで、慌てて飛んできました…って小説のタイトルですか。てっきり妖精じゃなくなったのかと…

Posted by:saz | 2007年11月26日 23:14

swanqは最近下ネタ多すぎですよ。

Posted by:コバヤシ | 2007年11月26日 23:19

TRACKBACK

URL : http://tplh.net/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/519




copyright © TPLH.net All right reserved.