周縁からのフィールドワーク 2

投稿日 :
2006.11.18
カテゴリ :
01_PHOTOGRAPH

前回からの続き。

前回ではこの連作のなかのシリーズ「塔を眺める」から、僕が得られた新しいモノの見方を述べたが、今回はまた別のシリーズについてのおはなし。

シリーズ「樹木のスタディ」がまた面白い。
街の中にひっそりと根をはる樹木を捉えた写真群を介し、有機物が幾何学的に構築されたフレームを侵食していく様を、巧みに具象化させている。

以下解説文からの引用。

複雑に交錯する有機的なフォルムの集合体は、モダニズム的、幾何学的なフォルムの対極にあるようでいながら、実際はそれをも飲み込み、乗り越えていく存在です。

シリーズ中の写真では、この見解に対する作者の意図が見え隠れする。

街中にひっそりと、しかし強靭に根を張る樹木。
どれもが写真のフレームにおさまろうとはしておらず、2枚の写真を介してようやくその全貌を捉えられているものもある。

樹木自身が写真のフレーミングを操作できるわけがないので、この構成は作者の「遊び」。
写真と対象を使って、作者自身が有機物に対して意図するものを表現してみせている。

僕がこのシリーズを面白いと思うのは、僕の写真活動の目指すものの先に、このシリーズが位置していると感じられるから。
拙作「ブロック・ベイ」では、植物をはじめ人間の生活までもが自然の一部として、建築物、構造物を侵食し、幾何学的なモノが変貌、形骸化していく様をとらえようと試みた。
また、現在も構築している「stabilizer」では、写真のフレーミングという限界性を利用して、世界の構造を操作して遊んでいる(「stabilizer」においてはメッセージ性が皆無という点で、比較するのも恥ずかしいけれど)。

小野規氏がどういう人物なのか、国内ではそれほど有名な人物ではないようなので、その全貌を知ることはなかなか難しそうだが、また注目したい先人が出来たということは、僕にとっての幸福でしたということで、今回は終了。

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